久しぶりに

SF読みました。
闇の左手って作品です。
作品のル・グィンといえばゲド戦記で超有名なファンタジー作家ですが、超有名なSF作家でもあります。
実はル・グィンの作品は読んだことなかったんですよね。SF好きとか言っておきながら。
サガフロ2をやってたときに世界の合言葉は森って名前がル・グィンから取ってるのを知ってそれを探してたときに買いました。世界の合言葉は森の方はまだ見つかってません。アマゾンで買うと高い。

内容はなんか宇宙同盟みたいなところの使節が、両性具有の人類のとこに同盟結ばないってやってきたんだけど、そこで権力闘争に巻き込まれちゃうって話。
別にバトルみたいなものがあるわけでもなく、科学的なガジェットも(今となっては)目新しいものは特にない。
ないんですが、詳細に描きこまれた世界に圧倒されます。
架空の星の自然、生態系、人類の思想、概念、生活習慣、文化、そういうものをことこまかに繊細でありながら迫力ある文体で書いてあって、本当にすごい。やっぱこまけえことは大事だな。
ひとつの世界をここまで綿密に作り上げられる人はほとんどいないんじゃないかななんて思いました。

最後の方に、その両性具有の社会になれてしまった主人公が普通の人類に会って取り乱してしまう、なんてシーンがあります。
それそのものはそこだけ取り出してみれば酷くチープなんですが、
その前に、厳しい雪原の中を逃避行して一緒に逃げてるエストラーベン(両性具有の人です)との友情とも愛情ともいえない、とても深い関係がはぐくまれていくシーンがあって、それにすごい感情移入させられてしまった後では、すごく説得力があって、やられたなーってつい思いました。

似たような作風(全然似てねーって言われても否定できんが)だとゼラズニイの方が趣味なんですが、この作品もすごいと言わざるを得ない。

思想的な部分は気にしないで読みました。ジェンダー論とか戦争否定論とか色々盛り込まれてますけど、そこがこの作品の本質ではないと思いますんで。

最近ラノベしか読んでなくて、そのギャップはやっぱり凄まじかったですね。
そもそも比較するようなもんじゃないけどさ。つーかある意味で対極にあるものだし。